高円寺日記

気が向いたときに更新

旨いから食ってみろ『ダンジョン飯』

TRIGGERに対する歪んだ愛情を見せるために利用した『ダンジョン飯』の原作マンガをついに読みました。読んだ経緯は今週読んだマンガや3分日記でも触れたので割愛いたします。
一気読みするくらいすんごい面白かったんですけど、僕と同じように食わず嫌いしている人もいると思うので、僕が読んでいなかった理由も含めて感想を書ければなと思います。

なぜ、アニメ公開まで読んでいなかったのか

本作ダンジョン飯の評判は1巻が発売されたころから聞いていました。なんやかんや面白いらしいぞと。
ダンジョン飯1巻の発売日は2015年1月15日。当時学生だった僕に衝動買いをする財力も買う気もありませんでした。理由は主に2つ。2010年大ヒットした『はなのずぼら飯』以降のグルメマンガ乱立に嫌気がさしてきていたこと。なろう系的なファンタジー作品が苦手だった事です。
僕は「ダンジョン+飯」を「なろう系+グルメ」と勝手に解釈し読まず嫌いをし始めました。
そして時は流れること9年。漫画は完結し、アニメは開始。キンドルはポイントバック。ミーハーな僕は折れてしまいました。
以降ネタバレを含んだ感想です。がっつり落ちを書くことはしないと思いますが気にする方はブラウザバック推奨。

そして感想

嫌な予感は的中してしまいました。
安直な名前と感じられるセンシの存在。特に説明なく蘇生のある世界。最下層近くまで行ったはずなのに、ライオス以外の魔物知識が薄いこと。これら全て丸っとご都合主義的だなと思いました。
が!
マルシルやライオスがそうであったかのように、私は騙されていたのです。作者の掌の上で踊る道化、まな板の上の鯉、それが僕でした。
ダンジョンで生き返ること。ダンジョンの制覇によって都合の良い夢がかなう事。それら全てにはしかっりとした理由がありました。

異世界転生をはじめとした所謂なろう系では、物語冒頭で世界観の開陳とその説明を省略することが多くあります。よくある設定は読者層は御存じであろうJRPGからの流用で、所謂「お約束」だからです。
本作でもRPG的な役職やダンジョンという舞台、蘇生といった不思議現象が存在しますがこれに対する説明は特にありません。登場人物が疑問を抱くことも序盤はなく、それに対して読者からも疑問を抱かれることは多くないでしょう。僕がそうであったように「お約束」としてスルーしてしまいます。それを好意的に受け取るか否定的に受け取るかはさて置きです。

しかし本作の蘇生と魔法、ダンジョンの報酬は決して「お約束」なんてものではありませんでした。この事実を知ったとき、僕は頭がくっらくらしました。なんて上質な語り口。JRPG的な展開に慣れた読者に対する見事なクロスカウンター!!
情報開示のタイミングが完璧で全14巻できれいに完結するこの作品は、さながら全14品のフルコースのようでした。
飯に対する解釈も見事で、物語の根幹と非常に強く結びついており見事なマリアージュ。確かに食卓は幸せであるという全肯定に対して、ある種の無責任さや取りこぼしを感じないわけではありません。しかし、そこも含めて本作の魅力なのではないかなと僕は思います。

本当に練りに練られた今作、全巻買うならキンドル版実質半額の今しかない!
九井先生の次回作が今から楽しみです!

余談ですが、最後まで読んでやっとTRIGGERがこの作品を原作に選んだ理由がわかりました。物語が進むにつれて広がっていく世界。クライマックスになって急に超巨大になる舞台。とてもTRIGGER的です。