高円寺日記

気が向いたときに更新

『Her Story』答えのない推理、あるいは真実という虚構

 どうも僕です。

 

 名作実写ADV『Her Story』をやりました。

 まだ全ビデオを見切ってはいませんがいったんクリアをしましたので感想を。

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 本作はある事件の事情聴取映像を見ながら真相に迫っていくアドベンチャーゲーム。事情聴取映像は細切れになっており、プレーヤーは警察のデータベースから見たい映像のキーワードを探し検索→視聴→検索を繰り返して真相に迫っていくこととなる。

 検索のキーワードはかなり自由で、映像で出てきた単語、そこから連想された単語、さらに言えば適当に思いついた単語まで好きに検索することができる。*1また、ヒットした映像で語られることが真相なのか、何がキーワードなのか、すべてを判断するのは我々プレーヤーで決してゲーム側から”真実”を教えてくれることはない。

 このゲームはエンディングまでプレイは変化することはなく、推理パートや真相解明パートがあるわけでもない。優れたメモ機能や、見た映像がどの順番で撮影されたのか教えてくれる機能もなく、重要だと思った映像を手元に残しておく機能しかない。状況を整理するためにパソコンの外にノート1冊、ペン1本を用意しておくことをオススメする。*2はっきり言ってとても快適ですっきりするとは言えないゲーム体験だが、この不自由さによって、古い端末の前に座り過去の事件を捜査する主人公と一体化していく。

 

 クリアまでの時間は4時間程度、非常にコンパクトなゲームながらじわじわと真相に迫っていく時間や、ゲームの内側だけでなく外にまで浸食してくるような没入感は非常に心地よい。

 ぜひ安楽椅子探偵にでもなった気分でじっくりプレイしてみてほしい。

*1:ヒットするとは限らないが

*2:僕は用意しなかったけど