高円寺日記

気が向いたときに更新

HIPHOPは持たざる者の武器なのか『スーパースターを唄って。』

「やらんかなぁ俺は、ラップ。」「歌いたいことなんか、ないもん。 ・・・伝えたいことも」 主人公・大路雪人。17歳、売人。大阪の路上、絶望的な環境で、感情を殺しながら生きる日々。幼い頃に、シャブ中の母親と最愛の姉を亡くし、天涯孤独となった主人公だが、唯一信じてくれる親友がいて・・・ 仕事先の上司に殴られ、流血しながら売人を続けてく中で、彼の心に宿るものとは? どうしようもない環境を抜け出すことができるのか・・・!?

Creepy Nutsやバトルによって起きたHIPHOPブーム。乗るにはいささか遅すぎるような気もする今作品だが、そんなこと関係ないくらい重いパンチが作品から飛んでくる。
むちゃくちゃマンガだから、むちゃくちゃフィクションなのだけど、むちゃくちゃ生々しいリアルがある。
これが、雪人のリアルだしリアルだからこそ引き込まれるし目をそむけたくなる。

この作品を読んでてリフレインしたのはAwichのQueendomで、同じようにリアルでカッコよくて目をそむけたくなる。


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なんでこんなにもこの作品を直視できないのかな、と考えるに、僕は勉強しなさいと言われるつつじが丘のガキで、恵まれた日本にはghettoなんかないって本気で思ってるからだろうな。
音楽を題材にしたマンガで、一番大事だと思うのはどう音楽を表現して、読者に聞かせるかだとどっかで言ったけど、HIPHOPを題材にしたこの作品は、リアルを描くだけで歌詞も一切出てこないのにむちゃくちゃ雄弁に音楽が聞こえる。

多分天下を取るような大流行はしないと思うんですけど、内容的にも。でもマジで全力でぶっ刺しに来るし、読んだ人はもれなくぶっ刺さると思うのでとりあえず1話だけでも読んでみて下さい。
ちなみに、1巻のラストがバチボコにかっこいいので1話読んだら1巻の最後まで読んでください。あと2巻も側面見ると真っ黒で、マンガリテラシーある方は察すると思うんですけど、永遠過去編やってて、僕は基本的に過去編、どんな作品でも苦手なんですけど、歩んできた人生が作品になるこの漫画では、一字一句読み飛ばさずに読みました。なにが言いたいかっていうとオススメって話。

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