マポロ3号先生著「PPPPPP」ジャンプ+にて全話無料!みんなも読もう!!
どうも僕です。
全話無料との事で友人の勧めもありまして読みました。自分自身がジャンプの良い読者では無くなっている自覚はありますが、それなりに楽しめましたので感想を。
あらすじ
音楽史上に名を遺す天才ピアニスト音上楽音(おとがみがくおん)。
彼には7つ子の子供がいた。子供ももれなくピアノの天才となった。
たったひとり、主人公ラッキーを除いて...。
凡才として生まれたラッキーが天才に挑む奇跡の物語開幕!出典:少年ジャンプ公式サイト
閉幕しました。
こちら70話で打ち切られております。どう打ち切りになったかはぜひ読んでみてください。
音楽を題材に扱ったマンガは数多くあり、それらどの作品でも問題になってくるのが如何にして音楽をマンガで聞かせるかである。擬音を書き込む?空気の振動を絵で表してみる?それとも音楽のイメージを絵にする?観客のリアクションですごさを表現する?絵と文字で構成されたマンガというメディアで音を届けるというのはとても大変なことだがそこに作者のエポックメイキングな発想が詰まっている。
本作でマポロ3号先生が用いた手法はファンタジーという概念の導入だ。本作のラスボス*1である音上楽音とその6つ子たちは演奏によって観客にファンタジーを見せることができる。
これが本作の音楽の見せ方。6つ子それぞれに特色あるファンタジーがあり、それらをもちいて音楽を、そして天才性を表現しているのだ。ちなみに天才以外が演奏すると音符が出るだけである。しょぼい。そりゃ天才がコンクールで勝つよなと読者も納得させられるわけである。
たいしてファンタジーが出せず凡才認定され父親から見捨てられたはずの主人公ラッキーは、①曲の本質を思い②誰かを③どこかへ連れて行こうとする、ことで体験できる音楽を作り出すことができる。ファンタジーがARだとすると、ラッキーのは超高級VR。味がする。痛みを感じるなどなど、、、バトルマンガ風に言うと発動条件は厳しいが出たら最強の必殺技みたいな感じですかね。
この必殺技を磨いて天才を倒して音上楽音の野望を打破するぞ!!っていうのが本作の目的であると
思っていたのか?
違います。主人公ラッキー君の目的は7つ子全員でまた、お母さんの前でピアノを弾くことです*2。だからほかの6つ子を説得できればコンクールで勝とうが負けようが主人公は別にどうでもいい。
実際作品内で同じコンクールで戦う2人の天才は改心?しただけで演奏的に明確な勝敗はつかない。正確にいうとついているのだが、主人公は別の土俵で戦っているため、読者的にはついていない。徹底的に演奏に対して優劣をつけないところに作家のこだわりを感じる。それぞれの演奏には届けたい人や届けたいメッセージがあって、それらは受け取り手によって価値がかわる。非常に立派だ。しかしこれが退屈だ。
「負けたら音楽業界から追放」といったペナルティを用意しながらなあなあにしてしまう。その姿勢はどうなのよと思います。ファンタジー同士が戦って勝敗をつけるまではしなくとも、審査員が得点をつけるなどしたほうが主人公は追放されちゃうのかそれともっ!といった緊張感があり楽しめたかなと思います。
書き忘れていましたが、楽音は演奏下手なやつを音楽業界から追放する癖があり業界から嫌われております。でも圧倒的な実力と強力なパトロン*3がいるので誰も意見できません。
プラスどうなのよポイントとして、演奏中に客が普通に声を出すんですよ。特にミーミン周り。ミーミンも喋るし。序盤に古巣さんが筆談していたりした気遣いはどこへ行ってしまったのか。演奏のリアリティが失われるんすよね。
とここまで散々書きましたけど
それでも登場人物それぞれのストーリーは素晴らしく、凡人組において描かれる一生努力しても超えられない壁が出現したときの振る舞いは、僕たち全員がいつの間にか知っている、自分が決して特別な存在などではないのだという事実に対して、どのように立ち向かって折り合いをつけていけばよいのかについて様々に教えてくれる。
また(結果的に)終盤で明かされる主人公の正体とか、点数制の4vs4の演奏バトルとかいい感じにドライブしていきそうな予感があったのですけど、残念ながら打ち切りになってしまいました。
絵柄は癖がありますが無料期間にぜひ1度読んでみてください。最終話は読んでおいて損ないとおもいます。
僕はメロリちゃんとミーミンあたりの話が好きです。
以上。解散。